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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法
──人生で三回目のネットカフェ。
【悠々快適】なんていうセンスの無さ120%の名前に明らかにチェーン店じゃないだらうな、という見立てが立てれた。チェーン展開の店なら、もう少しマシな名前を付けるはずだ。
でも宿泊先のホテルの近くに有って……尚かつ、それなりに快適そうなのって云えばここしか無かった。
他は大きいが故に入口にヤンキーが溜まっていたり、入っていく人達が少し変そうな人だったり。
悠々宿泊、なんていうパッケージプランは今の時刻である夜中の一時から朝の十時までは部屋に居れるらしい。
それで1980円だから割とお得だと思うけど……やっぱりいくらリクライニング付きのソファでもしんどいなあ。
「……はあ。」
ネットの電源を付けると、トップページにヤフー検索場面が表示された。
スポーツ欄の一番上には柳くんがエラーをして落ち込んでいる写真。批判は簡単だ、というのを表すかの様にコメント欄は何気に荒れてそうで……あえて何も見ない様にした。
「どうしようかな。」
シャワーも有るし、ホテルとそこまで変わらない。
でも彼達……ウィングスメンバーにネットカフェで宿泊した、とバレるのだけは嫌だった。
意味もなくもう一度ため息を付いて背もたれに深くもたれかかると隣から音漏れが聞こえる。
「っ……ぁああっ、止めてッ!」
「───。」
そうだよね、こんな空間で当たり前か。ちゃんとティッシュも置いてるし、健全な男ならエッチなビデオを見るとムラムラするはずだ。
「でも、無理だわ。」
だけど、どんな人かも知らない男が隣でオナニーしていると考えると怖くなるのも不思議ではない。
考える間もなく財布と貴重品だけを持った私は、キャリーバックをロッカー備え付けのチェーンでぐるぐる巻きにして、急いで【悠々快適】を出た。
そして丁度前を通りかかった空車という文字が光るタクシーに手を上げて、挨拶をしてから乗り込むと優しそうなおじちゃんの笑顔に、すこーしだけ安心感を覚える。
「どこに行きますか?」
「とっ……とりあえずここから一番近い繁華街まで連れてって下さいっ!!」
今日は飲もう。
朝方まで飲んで二時間ほど寝れば身体は動くし、何より飲んてでいたら、変な音も気にせずに余計な事も考えずに直ぐに眠る事ができる。