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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法
☆
さっきまで、柳らしさ100%じゃなかった柳君がいきなりいつもの笑顔とテンションで私へ抱きつく。
丁度、視界に入った天草の顔が歪むのが見えた。
「やっぱ身体アツいべ、風邪か?」
「へっ、何よイキナリ?」
……昨日は結局、流川で夜中の四時まで飲んでた。
広島の人は方言がキツイから性格もキツく思われがちだけど、実際は情にあつくて優しい人が多い。大阪から来たと云えば観光名所や美味しいご飯屋さんを教えてくれたり、何ならお酒も奢ってもらったりと至れり尽くせりしてもらった。
それで楽しくなってグイグイお酒がすすんだのは良いけど……朝起きたらこの有様。
持ち歩いてる体温計が出した数字は【38.4】という今年一番の体温。自分の日頃の体温と野球で掛けるならば今シーズンだけ打率3割4分、みたいな感じだ。
普段の平熱が大体36.2位の私にしてみれば、ここまで上がるとやっぱりしんどい。
ガンガンに効いたエアコンのせいなのか、薄過ぎたブランケットのせいなのかは分からなかったけど、ネットカフェという慣れない空間で日頃のストレスが爆発したのだろう。
手当たり次第、薬を飲んでから出勤して──今の今まで誰にもバレてなかったのに、やっぱり一番恐れていた柳くんにバレた事におどろく。