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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法
「熱測ったか?」
「うん、36.7やから微熱やけど大丈夫よ。」
「……うーん、それならいいけど。」
ぜったいに疑ってるよね?と、そんな瞳で私をまっすぐに見つめる彼。さっき逢沢君と話してたから、きっと逢沢くんが私が風邪っぽい事を彼に言ったんだろう。
あの人には身震いしてる所、何回か見られてヤバイなあとは思ってたんだよね。
「ほんっま大丈夫やから、とりあえず離れて?」
「無理ー」
「もう、柳くん。私仕事あるからっ、な?」
ポンポンと背伸びして彼の頭に手を置いた時だった。
グラッと視界が大きく揺れて、腰から砕け落ちる。
「……蒼井?!」
「吉瀬ちゃん?」
その瞬間に地面に落ちたのは【悠々快適】のレシート。
ヤバイ、と思ったけど時既に遅し。
それを拾い上げてパッケージ価格の意味を理解した天草の顔がみるみる内に豹変していく。
だけど……弁明する元気なんて無かった。
まるで幼い子供がすやすやと母親の手の中で眠りに落ちる様に、心配して抱き抱えてくれてる柳君の腕の中で私もまぶたを落とす。