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逆転満塁ホームラン!
第20章 ネットカフェの魔法
「いや、無理!お前、冷静に考えてみろや、これは誰が悪いねん?!」
「そんなん言っても仕方ないじゃないっすか!じゃあ今度からドコ泊まるんすか?また新たにWWCに契約ホテル探させるんすか?」
「当たり前やろ!それしか無いに決まってるやんけ!」
ガチャガチャしている声がうるさ過ぎて、ゆっくりと瞳を開けた。
視界に入るのは真っ白の天井と、伸ばされた足の向こうで何やら言い合いをしてる天草と他若手選手。
腕を伸ばそうとすると、点滴に繋がれていたみたいで激しい音が鳴って、この部屋に居る男達の視線が一気に私に注がれる。
「あっ……」
「……はあ、良かった。」
どんな言葉を最初に言おうか迷っていたのも束の間、いつかのあの日の様に心配そうな顔で私を見つめていた柳君が冷たくなった両手を己の手のひらで包み込むと、今まで見た事のないような優しい笑顔で頭を撫でてくれる。
「気、付いたか?」
「う、うんっ。」
状況を理解するのはとても簡単だった。
私があの時に倒れて……焦った選手達がマツダの直ぐ側にある病院に搬送してくれたのだろう。
個室に掛けられている時計は既に夕方17時半を指していた。
ラフな服装に着替えてる皆を見る限り、デーゲームは案外すんなりと終わり、みんな私を心配してこの部屋に来てくれたってところかな?
まだ少しだけクラクラとするのを隠しながら上半身を起こして、暴れ馬である天草の顔を見る。
バツの悪そうに逸らされた目には安堵感が漂ってた。