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逆転満塁ホームラン!
第3章 不吉な予感
小堺さんに丁寧に説明されたのは、二分も歩かない本当に真隣のビルだった。
一階はわたしでも知ってる有名な割烹料理屋さんで二階と三階は同じ店だろう、クラブ・Lily。
四階の最上階は会員制のバーらしきものだった。
どうやら二階で降りて、黒服さんにわたしの名前を言うらしい。
総司と行く店は老舗が多いけど──この看板の色使いやビルの立地からして、Lilyとやらは最近出来たクラブっぽい。
だけども高い事は間違いない。
入れ違う様にして三階から降りてきたエレベーターには仮想通貨系統の雲行き怪しいお金で稼いだと思われる三人の若い男。
そして、六人のキャピキャピした細いギャル達。
女の子達は不思議そうに私を見つめるとエレベーターのボタンを押してくれるワケでも、ドアを開けてくれるワケでもなくルブタンのクラッチバッグを持った男の腕に絡まりついた。
ああ、嫌な感じ。
甘ったるいグッチっぽい香水すら嫌な感じ。