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逆転満塁ホームラン!
第21章 俺の自慢の嫁
食べかけのチョコレートケーキなんかに目もくれず、フォークをお皿に置くと金属音同士がぶつかる音がした。
「確かに…そうやけど。」
「そうやけど、何?」
覗き込む様にして私の事を見て…前髪を耳にかけてくれる彼は本当──いつまでも私のお兄ちゃんなんだな。
冷たい事を言って突き放したフリもするけれど、こうやって本気で落ち込むと何時も優しい笑顔を向けてくれる。
「覚悟してたのに、裏切られたみたいで嫌やった。それも可笑しい話しやし、そんなん覚悟って言えるのかも微妙やけどさ。」
「大事にしてくれてるっていう絶対的な自信が有ったからこそ、こんなヘマをして裏切りを目に焼き付ける様なことをして欲しくなかった。」
「うん、分かるよ。」
「……愛してくれてるのとか、あたしだって分かってるよ。」
「でも、それでも嫌なモンは嫌やし…アカン所はアカンやん?それまで許してしまうと私とあの人の関係って可笑しくなるよ。」
考えた末に出した結論だった。
【彼が私を傷つけない限りは私も彼のことを疑わない】っていうたった一つの結論。
だからこそ、日本シリーズで勝ったにも関わらずキチンと考える時間を与えてくれた天草流に対しイエスと返事をして、彼の奥さんになった。
浮気も不倫もバッチコイ!とまでは言えないけれど、バレないなら…私が傷つかないならまあいいかってなモンだろう。
きっと、それは総司も総司ファミリーも同じ意見だと思う。これから長い付き合いをしていくあの人が結婚したからと云って一度も他の女を抱かない事は無いだろう。
そんなの承知の上だ。馬鹿じゃあるまいし。