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逆転満塁ホームラン!
第21章 俺の自慢の嫁
「もし俺が前もって報告してたらフロントは無理矢理、四番を作って埋めようとするやろ。」
「でもそんなやり方したらそいつは重圧で潰れてまうし、俺の穴を埋めるなんて大役を回し切られへん、と自分を卑下してまう。」
「だけど急に居らんくなったら、まずは四番を回すはずやねん。そこで誰に定着するかはそいつの実力次第、やろ?」
「嫌な奴は定着しやんように持っていくやろうし、ウィングスの四番を背負いたい奴は重圧に負けやんとコーチと切磋琢磨する。俺はそれが狙いなわけ。」
「つまり作られた四番じゃなくて、自ら志願して成れた努力の四番が欲しい、と?」
「そう。じゃなきゃウィングスの四番は務まらん。」
実の父親があの千里初なだけあって、天草の視点ってのは時々常人を驚かすものだ。
バリバリプレイヤーの考え方の時もあれば、こういう風にドコか客観的に冷静に物事を捉えている時も有る。
まあ、ソレが俺は面白くて好きなんだけど。
普段は客観的だけど、ふとした瞬間に自分が見えなくなる俺とは真逆のタイプなのかもな。
「でも」
「何?」
「お前もメジャー行く、やろ?」
「……何のことだべ?行かねえわ。」
「はあ?行かんの?!」
「え、逆に行くとおもってたべ?」
「おん、普通に。だってお前、高校ん時から俺はメジャーで成功するって言い続けてたやん。」
「その時はな。」
「じゃあ何でやねん?行けばええやんけ、お前は充分活躍するの目にみえてんのに。」
「俺なんかは日本人でも前例が無いから微妙やけど、ピッチャーに関しては向こうで二桁勝利上げてる奴達も死ぬほど居るし。」
「死ぬほどは居ないべ」
「チッ、言葉のアヤじゃボケ。」
「…俺はな」
「──。」
「ウィングスのフロントに成りたいんだよ」
「フロント?」