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逆転満塁ホームラン!
第21章 俺の自慢の嫁
「あんなヤンキー上がりで無茶してた俺を、ここまでのプロ野球選手にしてくれたのは誰でも無いウィングスだからな。」
「お返ししたい、と思う。」
「……お返しって、でもお前の人生やねんから…」
「分かってるべ?俺は若い奴達を何だかんだ言いながら、時には俺らがされたように怒ったりシバいたりしながら……野球しかして来なかったような奴達のサポートを出来る環境を後世に続けていきたいんだよ。」
「そりゃあエースとして、もっとこうだったら良かったのに、とかフロントに色々思う事もある。」
「そこも変えたいし。そうなると俺はまずウィングスで遣り続けて監督になってGMになって…と動くしかないだろ。」
「俺が世界の一流と勝負したい、と思うんじゃなくて日本でいっぱい結果残してメジャーリーガー側から『日本に行くから親善試合として"あの柳投手"と真っ向勝負させてくれ』って言わせたらいいだけの話しだしな?」
納得したのか、してないのか──。
ジッと紙タバコが火に焼ける音がした。
どうせコイツの性格だ、吉瀬ちゃんがいない事を寂しく思いながら彼女のタバコを吸ってるんだろう。そういう所は俺よりも女々しいからな。
「まあ、お前は頑固やから何も言わんけどな。でもま、また気変わったらメジャー来いや。」
「俺も必死に一軍しがみついて、お前と勝負出来る時が来るまで黒人にも白人にも自分の四番渡さんと遣り続けるように頑張るから。」
「おん。」
「……じゃ、とりあえず住友に電話してみるから切るわ。ごめんな、女とおんのに」
「別に。また見つかったらラインか何か入れといて」
「ん。」
ったく、マジで人騒がせな夫婦だよな。
やっとひっついたと思ったら出て行ったって…しかもその理由も高校生みたいなんだから、切れたスマホを見つめて2回ほど小さくクスッと笑ってしまった。