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逆転満塁ホームラン!
第21章 俺の自慢の嫁

淡々と簡潔に受け答えをしている彼は間違いなく私の愛している旦那さんの天草流、だ。

英語の本が散らかってたり、向こうの試合も興味深そうに見ていたりで、いずれメジャーに行くつもりなんだろうな…ってのは一緒に生活する前からも何となく気付いていた。

でもまさか──

相談も無しにそんな大事な事を決めてしまうなんて。


もう怒るとか呆れるとか云うより【無】に近い。

さすが天草、とあの時の私なら無表情で大きく拍手していただろう。それほどアンビリーバボーな状況だ。


『お世話になってます、スポーツ日報です。──今回、メジャー挑戦という事ですがそれは事前に誰かに相談なさりましたか?例えば柳さん、とか。』

「相談は誰にもしてないですね。ただ決めて直ぐにフロントに伝えて、フロントに伝わると俺の場合は必然的に親にも伝わるので……そっからしばらくして柳に言いましたね。」


『と言いますと、やはり先程報道に出た他の選手達は何も知らなかった、というのは本当と云うことですか?』

「はい。コーチの皆さん含め他の選手陣にも伝えてませんでした。知ってたのは監督と柳だけです。柳にも伝えたって言うよりかは酔った時にポロッと、てのが近いんですけど」


ニカッと悪気なく歯を見せて笑うコイツだけど……いやいや、内海さんが知ったら間違いなくブチ切れるでしょ。

そりゃあ何の考えも無く、面白いからとかそんな理由で黙ってたワケじゃないのは私でも分かる。コイツは考えてないようで誰よりも球団そのものや、球団の未来に着目して行動してたから。

……でも、さすがに柳くんにだけしか伝えてないってのは…それはどうなんだろう。


まあ今更驚く事もなければ、この人はこんな人だ。としか思わないし。

どことなく落ち着いてきた私を見て総司ママがたった一言『やっぱりあの天草君の奥さんしてるだけあって、あんたは変わってるというか根性据わってるわね』とポツリ呟いた。

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