この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
逆転満塁ホームラン!
第21章 俺の自慢の嫁
質問内容は様々だった。
年俸は満足か?とか、レッドドラゴンと云えばメジャー最高の四番と言われるチャップリン・キャビスが居るがどう思うか?とか。
後は柳くんの質問、彼も天草さんに感化されてメジャー挑戦という事は有りえますか?みたいな内容だったけど、それなら柳くん本人に聞けばいいのに、と思ったりもした。
きっと流も同じ事を思ったのか、その質問をされた時に分かりやすい愛想笑いを浮かべていたのが印象に残っている。
『最後と云う事ですので……質問させてもらいたいと思います。報知大阪誌の安藤です。』
『奥様とご同行で向こうに行くプランを立ててらっしゃると思いますが──今回の計画やメジャー挑戦について、奥様はどの様に仰っしゃられていましたか?』
世間では既に天草の嫁=ウィングスの吉瀬ちゃん、で通っている。
きっと、この安藤さんもそれを分かっているのだろう。今直ぐにでも吉瀬ちゃん、と言いたそうな雰囲気。
「いやっ、まあ色々有って嫁にはまだ言えてないんすけど……多分、この会見で知ると思います」
『……っ、へ?奥様に相談無し、ということですか?』
「はい。ま、まあ!それについて色々とご意見あるのは分かるんすけど。」
「あいつは多分、俺が相談しても【あんたの人生なんやからスキなようにしたらいいよ。】としか言わないと思ったので。」
「俺は馬鹿なんで、それならいっかな。とか思って言えないまま…ていうかその…会見前に喧嘩して……あいつが出て行って……」
急に語尾にチカラや滑りが無くなった天草。
シーンと静まり返る記者達を見て焦ったチワワ先輩が彼の肩を何度か叩くが、気にしていないのか別の考え事をして気付いていないのか。
それとも気付く気すら、ないのか。
何なのか分からないけれど、明らかに無視を貫いている天草は子供の様な笑顔でパッと顔を挙げると長い腕を天井に向かって伸ばした。
「逆に俺が質問していいっすか?」
「おい、天草?!」
『──えっと、は、はい。私で答えれる事でしたら』