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逆転満塁ホームラン!
第21章 俺の自慢の嫁

「俺、嫁と結婚してもうそこそこになるんですけど、未だにあいつの事になると嫉妬心とか独占欲とか、そういう子供みたいな心が出てきてもうて」

「でも変に嫁は根性据わってるから、浮気も余裕やで〜みたいな雰囲気やったんです。俺はそれがイヤで、なんか餓鬼やなって分かってんすけど、ヤキモチ妬いてほしくて…それで、机の上にお姉ちゃんのお店の名刺とか色々並べてたんです。昨日の朝に。」


『…?!は、はい?!…いや、違うな、はい。』

思いきり独り言も含まれた相槌をうった安藤さんは隣に居るライバル誌の記者さんと目を合わせて笑いを堪えていた。

チワワ先輩は焦ってる感じだけど、この人も流と付き合い長いからな。こうなると止まらない、と思ったのか一応テレビカメラにバツマークを付けているが、面白がっている皆が中継を止める事はない。

ワイプに映る坂下忍さん、なんていう毒舌で有名な司会者の男性も、何が始まるのかウキウキした顔で流の記者会見を見ていた。


「俺はただ、ヤキモチを妬いて欲しかっただけなんです。その後に、メジャーの話もしたかった。だけど、俺の子供みたいな行動で嫁の事を本気で怒らせてしまって…」

「私に見える所に置くのは違う、とかまあそんなニュアンスで。確かに今思うと、隠してバレるとかじゃなく堂々とあいつの目の前に置いたのは悪かったな、とは思うんです。ヤキモチ妬いてほしかっただけやとしても、その名刺とかは独身組のチームメイトから貰ったやつやったとしても。」


「結局、家出されて電話も電源入ってないからかからない状態です。俺が悪いのは明白です。だけど…」

「安藤さん?でしたっけ…?俺は、どうしたらいいですか?どうしたら嫁は俺の事を許して、俺の元へ帰って来てくれますか?」

今度は隣に居る別名チワワ先輩との名を持つ、千葉さんに負けないほどの犬顔をして瞳を軽くうるうるさせている。

わざと、じゃなくて本当に焦っているんだろう。


なんか──バカな息子のママラブ作文を聞いてるみたい。無意識に自分の顔が赤くなるのが分かった。



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