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逆転満塁ホームラン!
第21章 俺の自慢の嫁
「…そのっ、相談無しでメジャーの事とか決めてゴメン」
「───、うん。」
「記者会見でお前の顔潰すような、なんかアホくさいところを全国報道させてもうてゴメン。」
「うん。」
「あと……あんなアホな真似してヤキモチ妬いて貰おうとか思ってゴメン。」
相変わらず謝る時に目は見てくれないけれど、少し小さくなった背中と下を向いてブスッとしている表情は小学低学年の子みたい。
なんだか可愛らしい──と云うか、可笑しくなってクスッと小さな笑みが漏れた。
「…何で笑うねん?俺が謝ってんのに」
「いや?可愛いなあ、って」
「はあ?」
「なんか、そんなに気にしてたんや。と思うと、昔の流見てるみたいで可愛かった。」
「意味分からん」
「そうか?」
昔は──こんな事がいっぱい有ったんだよな。
明らかに自分が悪いのに、ギリギリまで粘って私に謝らそうとして……結局柳くんや内海さんに怒られて仏頂面しながら謝ってきたり。
荒野行動が流行っていた時もそうだ。
人のスマホを勝手に触って、データを消しておいて謝罪の言葉も無いからこの部屋で暴れた事も有った。
その時すら、彼はその場で謝ってこなかったけれど次の日には自分が悪いとちゃんと理解したのか、ティファニーの一粒ダイヤのシンプルなネックレスをプレゼントしてくれた。
『ん。』と無愛想に渡された箱の上には、マジックペンで書かれた『データ消してゴメン』という文字。
……最近でこそ、夫婦として二人でやってきてそこそこ長いから、こんな喧嘩は無いけれど。
それが平和で有り、悲しくも有ったのかもしれない。