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逆転満塁ホームラン!
第3章 不吉な予感
「この度はわざわざお越し頂きありがとうございます!お連れ様は三階のVIP ROOMでお待ちですので、私が案内させてもらっても宜しいですか?」
丁寧過ぎる言葉遣いは、この店の雰囲気にも音楽にも、そしてこの子自身にも合っていない。
「はい、それは構わないんですけど……あの、三階って全部がVIP ROOMなんですか?」
「ああ、えっと……」
とりあえず荷物を早く預かりたそうな素振りを見てバッグと小堺さんから貰ったマカロンのお土産の紙袋だけを手渡した。
パンツのポケットに煙草が入っているし、スーツの内側にはスマホも入ってる。バッグが無くても特に問題は無い。
「三階は、特別VIPと呼ばれてまして。」
「例えばお酒がストックされている倉庫や簡易的にフルーツなどを切るキッチンなども有るんです。で、仕切りを挟んでお客さん達の座る場所があるって感じですね。」
「勿論、お手洗いやメイクアップルームやシャワルーム、ジャグジーなども三階の同じフロア内に有りますので安心して下さい。」
「っはあ?」
「はい?」
いやいや、馴れ馴れしく私の背中を押してエレベーターに乗り込ませましたけど……。
今、シャワーって行ったよね?なんなら、その後にジャグジーなんて云うハイソな言葉も続いた様に思う。
マイクに向かってボソボソと私が到着した事を告げる彼に「ちょっと待ったー!」なんて時代劇の様な言葉を告げる間もなく、私達は三階へと運ばれたのだ。
ビルの高さには到底不釣り合いはスピードの早いエレベーターをここまで恨んだ事は有っただろうか。