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逆転満塁ホームラン!
第1章 銀行系の御曹司クン
総司とは私が二十歳になる少し前に知り合ったから、友達歴はもう六年に差し掛かろうとしている。
東京の大大大豪邸には何度もお邪魔して、総司のご両親とも一緒に夕飯を食べた事だってあった。
女の子が居なくて、男二人兄弟しかみていなかった事も有り、若さでキャピキャピの私のバカな話題にも心の底から楽しんでお話してくれる素敵なご両親。
「まあ、俺から言える事はただ一つ。もし俺の母親と父親が聞いたらソッコー、安藤先生に怒りの電話を上から入れさせるだろうな。」
「……っ、それは分かってるよ。」
「俺の両親だって、色んな奴を見てきてる。俺の元カノも弟の亮二の元カノも。でもそんな中でも里奈をかわいがってくれてるのは何故だと思う?」
「ぶーぶー文句言いながらも、自分の過去を受け入れて向き合って、自分の力で成長しようとしてるから、だろ。」
「愛人、なんて女の武器を精一杯使う様な努力の仕方なんて、お前の両親もお前が『東京のパパとママ』って慕ってる俺の両親も絶対に見たくないと思うけどな。」
半年後には30歳を迎える総司の言葉には説得力しかなかった。確かに──そうだよなあ。
黙々と肉を頬張る横顔を見つめる。
世間一般ではイケメンエリート、俗に言うハイスペ一軍男子なんて言われてるけど二十歳前から一緒に居れば私の兄貴みたいなものだ。
私は一人っ子で育ってきたから尚更、総司のことを口煩くてたまに過保護なお兄ちゃん位にしか見えない。
きっと総司も手のかかる妹、と私を見ているだろう。
それでも頑なにご飯は割り勘!と言い切る私は、多分相当変わっていると思う。