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逆転満塁ホームラン!
第3章 不吉な予感
「いった……ほんま、何ですか?!」
柳君は気を効かせてもう一曲何か入れようとしてくれてたみたいだけど、それを阻止したのは天草のこの行動と──そして、あともう一つ。
「流!もういいやん、何してるん?!さっきから!」
歌い終わってやっと自由になったミサトちゃん。
いつもマイペースが炸裂してそうな柳君も、平常心ではなさそうな二人の行動を驚いた顔をして見つめた。
「お前さ、売られた喧嘩は買う派?無視する派?」
「……はい?」
「いや、そのままやけど。」
「なんか聞き捨てならんやん、俺がケータリングの時に喧嘩売ったとか、ここに呼んだ事が喧嘩売ったとか」
「俺、全くそんなつもりなかってんけど。自分の感情に素直なだけやし、それを言葉で示して何が悪いんって話ちゃん?」
「だけどお前の為に折れたるやんけ、そこは。お前は俺のこの行動を喧嘩売ったと見なしてるんか?……仮にそうなら、お前はこの売られた喧嘩を買うんか?」
真面目な顔で、中学二年生みたいな事を聞いてくるな。
いや、まあ喧嘩を売っただ買っただ言い出したのは私だから例えは私が中二病っぽかったのかもしれないけど。
「その喧嘩が何を意味するんかは知りませんけど、まあ一つ言えるのはウィングスも貴方の事も私は大嫌いですね」
「……。」
「暴力とかお金とか勝ち目のないのは嫌やけど、嫌いなところを挙げ連れてみろとか、そんな話なら全然相手しますよ。あたしは自分の事を常識人寄りやと思ってるから、自分が間違ってるとも思ってないし。」
「今も心の中は『興味か好奇心かは知らんけど、んなストーカーみたいな事せんと言いたい事有ったり、知りたい事有るなら我こそ直接言うてこれば良かったんちゃん?』って思いで一杯ですもん。」
「まあ大人やから口には出しませんけど。」
と言ってビールを瓶で一気してから何故か笑えてきた。
口には出しませんけど……って思い切り出してるし、何ならこの台詞こそガキそのものだろう。