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逆転満塁ホームラン!
第4章 深夜の炭水化物
まるで素人の女とプロ野球選手……沢村賞を三年連続受賞した先発ピッチャーの会話だとは誰も思わないだろう。
ウィングスのコーチ陣達もとっくにそんな情報を仕入れてるとは思うけど、まだ伝わってないのか……それとも酔ってるから全てが新鮮に思えるのか……
隣の柳恭平っていう日本が誇る大エースは、凄く楽しそうに時に真剣に私の話を聞いている。
そりゃあ酒が進むのも仕方ない。
「で、吉瀬ちゃん。野球の話しは分かったべ?オレが聞きたいのは……総司君とは実際どうなワケ?」
「なっ、どうもこうも有るワケないやろ!あたしとあいつはベストフレンドなだけやし、総司も彼女居てるし」
「ええええ?!総司君、彼女居るの?!」
「はあ?偉そうに総司総司言うてる割に、そんな事も知らんの?ストーカーするなら徹底的にしやんかい!」
「いや、俺がストーカーしてたんじゃなくて天草が勝手に吉瀬ちゃんに迷惑かけただけだべ?」
「……てか、それより噂に聞いてるけど、あと住友財閥の長男の彼女ってどんなんなの?やっぱり同じ様に財閥の娘さんなワケ?」
「違う違う。今回は、まあお金持ちの家の子ではあるけど新興でも旧財でも無いな。」
「だけど一歩引いてくれて、趣味はお茶か何か言うてたしエエところの家の子なんちゃう?総司は我が強いから、一歩引ける女の子が合うんよ。」
「……でも吉瀬ちゃんも一歩引けるじゃん?」
「はあ?どこがやねん!」
思わず、柳の顔を二度見してしまった。
私達二人にビールを注いでくれていたホステスさんも、あははっと大きく笑う。それくらい、今の柳の言葉は私に向けられた物だとは到底思えなかったのだ。