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逆転満塁ホームラン!
第4章 深夜の炭水化物
「もうお前ええわ。」
「……何それっ…!」
「そのままの意味やけど。」
「ミサト。俺、お前のこともうええわ、要らん。」
立ち上がって天草の方へ行こうとする私を止めたのは柳だ。凄い力の強さで、やっぱりコイツはプロの野球選手なんだ、とこんなところで実感する。
「ちょっと待ってよ……待って、流!」
「確かにお前はええ女やった。俺が目の前で別の女抱いても文句言わんし、飯も上手いし、スタイルも良い。」
「だけど誰と本気で付き合うか、結婚するかは俺が決めるねん。」
「ミサト、お前ちゃうかったって話しやわ。」
泣いて崩れ落ちるミサトさんの事なんて見ないフリをして、財布から乱暴にカードを抜き出すと柳君に手渡した天草。
「ちょお、天草。あれはアカンちゃん?」
「はあ?」
「いや、だから遊ぶにしても綺麗に遊ばなアンタが有る事無い事書かれるんやで?」
今度は私が天草の腕を引っ張り、半強制的にしゃがませて耳元でそんな事をつぶやく。
「……。」
「女なんて単純やねん、ここまで泣く位あんたの事好きてで居てくれてたんなら去り際くらい、綺麗にしとき。」
「じゃないとアンタが本気で好きになった女とか、勿論野球人生もそうやけど──そういう大事な節目で足引っ張られる可能性出てくるから。」
三回、背中を叩くとその意味が理解出来たのか大きなため息をついてからミサトさんの方へクルリと身体を向けた。
「ミサト」
「……何?」
「今まで有難うな。」
「確かに俺はお前を選ばんかった、でもお前はええ女やった事も確かやわ。そこは自信持て」
「そんなん今更言う「今更やなあ、だから俺に時間割いてくれたせめてものお返しやわ。」
「………ッ?」
「アルマンドのピンク20本入れとけ。飲みきられへんかったら流してもええから。」