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逆転満塁ホームラン!
第4章 深夜の炭水化物

「じゃ、あたし寝るから。このホテルは有り難く受け取っとくわ。」

「ん、どーぞ。」

私が奥で彼が手前。

一言、冷たく言い放った彼の声を聞いてから私もバタンっと力強くドアを締めてチェーンを掛けた。

脱ぎ捨てたジャケットとシャツからは心なしか汗の匂いがする。香水なんて完全に消えてしまってるのが、女子力の無さだな。


ラーメンの帰りに天草に自販機で買ってもらったアクエリアスを一気に飲んでからスカートだけを椅子に掛けて、全裸になった。

みっともない姿だけどこれが気持ち良い。


さすがに汚い身体のまま、ベッドに寝転がるのは嫌だから立ったままスマホを確認すると不在着信の文字。

「お、総司やん。」


珍しく、二件も。普段なら私が出ない時も掛け直してくると予想して一件しか鳴らしてこないのに、な。

私達が無言でラーメンを食べてた時間帯だ。


"住友総司"という幼馴染の名前をタップしてからスピーカーにする。

そして、スマホを濡れない場所に置いてからシャワーを流した。


「……もしもし?!」

「もしもし?ごめんごめん、ラーメン食べてたわ。何やったん?」


「…ってか、里奈。お前まさかシャワー入ってんじゃねえだろうな?」

「入ってるけど。ってかええやん、いつもの事やん」


「いつも止めろって言ってるだろ。ったく、マジで女子力の欠片も無えな。明菜見習えよ」

「明菜って総司の彼女の明菜ちゃんのこと?はあ?それこそ、そんな嫌味言うために連絡してきたん?」


「……ちげーわ!聞きたい事が有って」

「聞きたいこと?」


「お前のライン呼んでから、可笑しいなと思って甲子園に問い合わせてみたんだけど……正社員じゃなくてバイトってマジな話し?」

「マジやで、大マジ。だからアンタにあんな愚痴ライン入れてたんやん」


「……それさ、向こうから契約期間とか言われてねえの?例えば、一ヶ月で正社員にして社会保障付けますよ、とか。」

「ないない。普通に大学生のバイトの子達と同じ扱いやけど。ってかそれを分かった上やったんじゃないん?」


ビオレで化粧を落としたら、はあスッキリ。

だけどワケの分からないことを言い出してる総司に対しては裏腹にスッキリしない。





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