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逆転満塁ホームラン!
第4章 深夜の炭水化物
あーあ、人の扱いが上手い男を近くに持つとペースがやられてしまうのは仕方ないのかな。
「……分かったよ。ったく、何だかんだ総司の言うこと聞いてしまう自分がよく分からんくなるわ。」
「そんだけ俺のことを信用してるってことじゃん?」
「いーや、違うな。確かに信用はしてるし好きやけど、それ以上にアンタのペースが強引なだけ。」
「何をするにしても相手の気持ち優先してる様に見えてアンタって拒否権与えてないもん。あの手、この手で自分の思う様に物事勧めようとするやん?」
「ポジティブに考えてみ?そんだけ、お前のことを大事に思ってんだよ。どーでも良い奴なら対人間として見てないから、こうした方が良いとか、ああした方が良いとか思わないし苦労をしてた所で気にもならない」
「だけど大事な奴は苦労してほしくないんだよ。……だから、多少強引であっても過保護って文句言われても、とりあえず安全なレールを轢いてあげたいとは思う」
「そこを歩くのか、新たに自分でレールを作るのかはソイツ自身だけどな。」
いつもより真面目なトーンでそんなことを言われると櫛で髪をとかしていた手が止まってしまう。
──よく言うよ。
明菜ちゃんの気持ち、考えてあげたら良いのに。
「……総司っていつもそう。」
「え?」
「明菜ちゃんが可哀想やわ。いくら私達に何の関係が無いって言ってもそんなん女の子に言ってるってバレたらきっと悲しむと思う。」
「……何だあ?いきなり。」
「──総司って冷たい男やなと思った。」
「はあ?」
「でも!……あたしには優しいから、やっぱりアタシはそのままの総司で良いかもっ、ふふっ」
「主語が無えんだよ、いきなり優しくないって「自分が一番わかってるやろ?」
「……。」
「総司は女泣かせやし、彼女泣かせ。自己中やしマイペースやし、それやのに寂しがりやでアカン垂れな所も有る。」
「でも」
「アタシにとっての総司は過保護やけど優しいし、良い人やねん。」
「一瞬、彼女の顔知ってるのに総司に大事や、とか言われて背徳感?罪悪感?そんなものが出てきたけど。まあいいかってなっちゃった」
「あたし、総司のこと好きやし信用してるからさ。……いつも味方で居てくれてありがとうな。」