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逆転満塁ホームラン!
第4章 深夜の炭水化物
ドアを開けた途端に目に入ったのは、私よりも悠に30cm以上大きい体格の大スター。
まるで小人を見るように人を見下す彼の毛は少し濡れているし、身体からは……ああ、ビオレだ。ビオレの香りがする。
「え、ちょっと天草……?」
ドカドカと他人の部屋に入り込んだのを横目で見て、焦った私だけどコイツの素性的にも大きな声で怒鳴り込むワケにはいかない。
はてなマークを頭に浮かべながらソファーに座って、勝手に私の煙草を手に取ってる男を見つめた。
「な、なに?」
「……うっさいねん、苦情言いに来た」
「はあ?何がうるさいん?」
「はあ?って言いたいのはコッチじゃ、ボケ。」
「わざわざ俺の部屋に一番近いバスルームでスピーカーで会話するってどんな嫌がらせやねん」
「……え、もしかして聞こえてたん?!」
横ちゃんラーメンでお隣さんが忘れていったライターを勝手にパクった私。そして、そのライターと煙草を勝手にパクってる天草流。
どんな連係プレーだよ、とツッコみたい。
「勿論。ぜ・ん・ぶ、な。」
「……そ、それって甲子園の件とかそれ以外の件も?」
「ん。お前が住友にああだこうだ情緒不安定に愛の言葉囁いてた件も」
「なっ、囁いてはないわ!叫んでてん!」
「そっちのが迷惑やろ。」
プロ野球選手ってお酒飲まない、煙草吸わない、食べるものは高タンパク質低炭水化物、みたいなイメージが有ったけど、こいつってやつは尽くそれを崩してくるんだよなあ。
まあ、ラーメンに誘ったのは私だけど着いて来たのはコイツだし。今も勝手に私の"ピース"を吸ってるし。
お金と体力が有り余ってる独身の選手って皆、こんなもんなのかな。