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逆転満塁ホームラン!
第1章 銀行系の御曹司クン

時計はもう午後十時前を示している。

ウーロンハイに途中から変えた私は、炭酸飲料独特のお腹の張りからも開放されてどんどんとお酒の沼にハマっていた。

「第一さあ、総司ママも勘違いしてるけど私は別にワールド・ウィングス・カンパニー……略してWWCが嫌いとかそんなんじゃないんよ。」

「会長の千里初さんは一代で今じゃ世界のTOYOTAより純利益を上げてるし、この前だってアメリカの老舗証券会社コンフォート・ズラールを買収したやん?あれってホンマに日本が世界に誇るビジネスマンやと思うねん」


「そうだな、トランプなんて伊達にしか見えねえレベルであの人は凄いわな。」


「やろ?そうなれば、ハイっ!ここで質問!なぜ私はここまで東京ウィングスが嫌いなんでしょうか!」

「はあ?八年前、創業当初に旧ヤコロトスワローズを買収したからか?」


「違う!それはビジネスやから大歓迎!」

「そんなん当たるワケねえべ。」


「答える気ないだけやん。……はあっ、正解はナイン組が嫌いやから!ただそれだけ!」


ナイン組──。

それは東京ウィングスが創立当初、つまり八年前に高卒ルーキーとしてドラフト指名した天草流(あまくさりゅう)と柳恭平(やなぎきょうへい)のツートップが率いる仲良し軍団だ。

東京ウィングスに属する90年代生まれの子達五人から成っているイケメン・高身長・高年俸の三つが揃っている仲良しグループ。


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