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逆転満塁ホームラン!
第6章 チワワの逆襲

「ごめん、吉瀬さん。アクエリアス切れちゃったからコンビニまで走ってデカイの二本買ってきてくれない?」

「あー、吉瀬ちゃん!俺も今減量しててケータリングの飯抜くからサラダチキン二つ買ってきてー」

次々にお金を渡される。だけどメモを取る手も止めれない。

何故か誰も本名を呼ばないこの空間は、おかしくて笑ってしまいそうだった。……まあ、この空間に私を呼び入れた当の本人には会えてないんだけど。

「場所分かるべ?」

「うん、分かるよ。ここ出てまっすぐ行ったら有ったでしょ?」

「あー、そっちのファミマが一番近いわな。気ぃ付けて。マジ大丈夫?」

「うん。大丈夫。ありがとう。」

シャワーから上がってきたばかりの柳君が、メモとお金を見て状況を察してくれたのか、そんな優しい言葉を掛けてくれた。

途中から合流してきたチワワ先輩は、内海さんの肩を揉みながら、ああだこうだと選手達にも注文をつけている。


確かウィングスの広報もしてるって言ってたから……ああ、やっぱり第一マネージャーと言うだけあって大変そあだなっていうのが私の本音。

そりゃあ、あれだけ大事に育ててる球団のバックルームにワケの分からない女が入るとなると──言い方は失礼だったし、キツかったけど、あんな態度を取ってしまうのは当たり前なのかもしれない。

誰にも抱かれていないっていう事実を信じてくれたのか、さっきよりは優しく接してくれる様になった事に嬉しさを覚えながらメモとお金を持ってバックルームを飛び出した。


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