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逆転満塁ホームラン!
第6章 チワワの逆襲
「ま、仕事は出来そうだし俺達ウィングスには興味無さそうだからそこは良いんだけどな。」
「一生懸命だと思いますよ。」
「へえ?柳もそう思ってるんだ。」
「まあ。……第一、吉瀬ちゃんは阪神ファンだし、東京の球団=ウィングスってなってる今の方程式が気に入らないって腹ですからね。」
「ははっ、マジで?」
「マジっすよ。俺達ナイン組の遊び方とか飲み方も大嫌いですし。」
「ただ、元々は政治家の秘書やってたんで大人な仕事はしてくれると思います。与えられた事をやり抜く、じゃないっすけど変な意味で公私混同はしないっしょ」
「なるほどなあ。─まあ、って事は天草は見る目は有ったってワケだ。そこに関して。」
「ですね。」
「ま、いいじゃん。俺もあの子嫌いじゃないし」
昨日付けで上と話し合って内海さんは年齢的な面と安定感を考慮して、先発から抑えに変わった。
抜群のコントロールと俺が苦手としているお化けフォークが得意な内海さんは、確かに抑え向きの人だと思う。
本人も高卒で入団した時と球のキレが変わってきているのは知ってた筈だし、だからこそ抑えに行け、とピッチングコーチに言われた時も頷いたのみだった。
「そうなんすか?」
「うん。」
「背低いのもマスコットキャラみたいで可愛いし、さっきも俺が抱きついた時だって目逸らしてウザそうにしてたけど思い切り照れてたし。そういう意味では、からかい甲斐が有る。」
「へえ……からかい甲斐っすか」
巨人でもエースとして活躍していた内海さんは俺達の兄貴分みたいな人。
優しくて、でも時々おバカで、みんなに本当に愛されてるのが分かる。
「ま、いいじゃん?若手も天草が目付けてるって知ってるから変な手は出さないだろうし」
「そういう意味ではアイツが手回してくれて、お前も気にしてて、健全なバックルームに成るんじゃね?」
「あの子も理性が有るし。」
「トータルで考えたら、若くて可愛らしい女の子がバックルームに入ってくれるのは俺達にとってプラスって事だろ。」
煙草を持って、入口に設置されている灰皿へと向かっていった内海さんの背中を見た。
やっぱり伊達に年齢食ってないんだな、あの人も。