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逆転満塁ホームラン!
第6章 チワワの逆襲
☆
「買ってきました、ハイ。芹沢君はアクエリアスで〜あとマルコが確かこのチョコレートでしたよね?」
皆に注文された品を渡すと、そうそう。と言いながらキチンと御礼まで付けてくれる。
何ならお釣りなんて皆、チップで取ってて良いよ。と言うんだからWWCはウィングスの選手に対しては相当な太っ腹なんだろう。
「はい、これが柳くんの胃薬」
「え?俺こんなん言ったべ?」
「言ってないけど、さっき内海さんに胃薬有るかどうか聞いてたやろ?で、不思議に思ってグーグルで調べたら柳君は胃が弱いって書いてたから」
「マジか!……やるじゃん、吉瀬ちゃん。」
「ははっ、何よそれ。」
さすがさすが、と頭を撫でられるとガラにもなく照れそうになって目を逸らした。
そしてそれを見て面白可笑しい事を言う柳君に、顔ごと背けようとするとガツンっと固い身体に後頭部が当たる。
「あっ、すみま……」
「よっ、オッサン。」
「……。天草。」
もうホテルでシャワーを浴びてきたのか、私と同じシャンプーの香りを辺り一面に香らせながらニヤリ、と見覚えのある意地の悪い笑顔を見せる三番バッター。
「バックルームスタッフになったんやって?出世、おめでとうさん。」
「はあ?何その言い方、どうせアンタが勝手に仕向けた事やろ?」
「んなワケあるか、何で俺がお前みたいなオッサンをバックルームに入れるねん。それやったらもっと背高くて可愛い女入れるわ、アホ。」
「……ッ!なにそれ、聞き捨てならんわ!」
いとも簡単に私を退かせて自分のロッカーへ向う天草に腕を振り上げてみせると、おー怖い。なんて言いながら小走りで内海さんの後ろに隠れる。
「総司はアタシを、WWCには入れへんし、あんた以外に関係者に知り合い居らんねんから……あんたしか居らんやろ!」
「どうせ性格悪いから?あたしの嫌がる顔を見たいが故の行動やと思うけどホンマに腹立って仕方ないわ。」
「そりゃそうやろうな、千里初の事は尊敬してても俺とか柳のナイン組のこと大嫌いやもんな?」
「なっ……!そういう事を大きい声でここで言うアンタのその性格がホンマに気に入らん!隠れてやんと出てこい、この根性無し!」
ガーッと大阪弁で反論を垂れ流すと、一瞬だけ静まり返ったバックルームだけど、その後すぐに笑いに包まれる。