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逆転満塁ホームラン!
第7章 出会いの人員不足
「アイツん家は、離婚してて母子家庭なんだけど桁違いに金持ちでさ。」
「へえ……。」
「母親がイケイケの人だから、アイツもその血引いて高校とか中学の時はヤンキーまっしぐらだったんだよ。勿論、野球してたから坊主は坊主だったけど。」
「でも先輩に売られた喧嘩は野球の実力と喧嘩の実力で買ってたし、他高に10人がかりでメンチ切られた時も一人で大暴れして、ほぼ無傷のまま次の日の試合でホームラン打ったとか、そういう伝説もあるけん」
「へえ……。」
「柳と天草のダブルが居た桜花中学なんてヤンキーのメッカだからな。わざわざ金持ちなのに私立に行かせなかった天草の母親も元ヤンだし。なんかすげえんだよ、アイツ」
だからなのか、ふとした瞬間にでる目付きや、ああ?なんていうガラの悪い聞き返しの言葉。
ヤンキーだ、なんて思いもしなかったけど言われたら確かに納得のいく節が幾つも思い当たる。
「天草流ってやつは、それに加えて野球の実力もピカイチで送り迎えは母親のポルシェだったり。俺達高校球児の界隈では伝説みたいな奴だったんだよ。」
「柳もしかり、だけどな。」
「俺達の時代でさえも言われてましたもん。柳と天草のダブルコンビは敵に回したらやべえぞ、なんつって」
「どの時代も言われてる事は対して変わんねえって事だな」
「で、そんな人達を相手に喧嘩してる吉瀬ちゃんは俺達カープの中でも話題だったって事っすよ」
人懐っこい笑顔でそう言うこの子は……えーと……ああ!思い出した!五番で打率は三割をいつも越えてる野茂君だ!
高卒三年目の21歳の若手だけどスタメンも定着してて駄率も良いって事でカープファンの間では、四番を任される日も遠くない、とか凄い褒められてた気がする。
「特に松本さんと柳さんはライバルでも有り、友達でも有りますもんね」
「そうそう。吉瀬ちゃんがウィングスのバックルームスタッフになった日から必ずと言っていいほど、あいつ達が甲子園で試合の時は色々聞いてたんだよ」
「今日も喧嘩してたとか、ある時は俺にまで吉瀬ちゃんが喧嘩売ってきた、とか。」
茹で蛸になりそうだ。
それだけ聞くと、まるで私がヒステリック気味の直ぐに怒っちゃう情けない女みたい。
いくら冗談と云えど、オッサン女子という本性がウィングス以外の選手達にバレるのは都合が悪い気がしてならない。