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逆転満塁ホームラン!
第7章 出会いの人員不足

「あ、アイツらって今日はトートドームで巨人戦だったよね?」

「確かそうだったと思いますよ。」 

…私の記憶が正しければ先発は柳君で、抑えには内海さんを出すとか何とか言ってた気がする。

巨人は内海さんの古巣で、彼が抑えに移動してから初めての古巣戦。

何故か、無関係の私までドキドキしながら聞いていた記憶があるもん。


「それじゃあ、まだウォーミングアップ入ってねえだろ。一回電話してみるか。」

「へっ、柳君にですか?」


「そうそう。自分達のスタッフが幾ら人手不足だって言っても広島のバックルームにまで入ってるってなったら、どんな反応するんだろうな?」


「いやあ、松本さん。多分……カープは女癖が悪いとか思われてるんで、柳さんの性格なら『お前ら手出すなべ?』って目は笑ってない笑顔で言ってきそうっすよね。」


「あー!想像できるわ、それ!」

勝手に話を進めながら、手際よくラインのトップ画面から柳恭平と云う文字を見つけ出し、これまたご丁寧にテレビ電話のマークを押した松本さん。

野茂君もニコニコしているし、この会話を聞いている他のスタッフさんや選手達も天草と柳がどんな反応をするのか楽しみにしてそうだった。


「もしもし?」

「あーもしもし?」

「何だべ?ってか、試合前にお前の顔面ドアップ見たらマジで三回六失点とかしそうだから止めてくれよな。」

聞き慣れた神奈川弁とダルそうな声。

間違いなく柳恭平だった。


「お前んところにスパイがおるけん」

「ああ?スパイ?」


「ほらっ」

ベンチには松本さん、私、野茂君の順番で座っている。

ガッチリと松本さんの腕が私の腰に回り動けない為、必然的にスマホ画面には私の顔も映し出されてしまっているのだ。


「え?里奈?」

……呼ばれた事のない下の名前。


本気で驚いてそうな顔をしてる柳くんを見て、バックルームは爆笑の渦に包まれた。

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