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秘メゴト
第3章 変わりゆく日々
そんな伊都を目敏く見つけ
柿元は後を追う。
彼氏彼女になった初めての放課後なのに、一人先に行く伊都に不安を覚えた。
「伊都っ!」
呼び止め伊都の元へと急ぐ。
既に階段に足をかけ、柿元の視界から消える所だった伊都は気まずそうに待っていた。
「先に帰るなんて、ヒドイな。何か用事でも思い出した?」
「ううん……勇史君のこと、思い出して…それで。ごめんなさい」
形が出来ても、中身が備わっていないから伊都の行動も理解出来る。だが、彼氏に成り立ての柿元としては一番聞きたくない名前だし、面白くない。
柿元は伊都の手を引っ張り、歩き出す。
「か…柿元君?」
「その勇史さんとやらに会いに行くんだろ?俺も行くよ。紹介して」
「えぇっ!?」
思いがけない申し出に伊都は驚き、柿元を見た。
少し、怒ったような表情。
今になって、怒らせてしまったんだなと軽率な自分の行動を反省した。それと同時に、勇史と気軽に会えない不自由さを寂しく感じた。
「じゃあ、勇史君に連絡とるから待ってて」
自分一人で会いに行くのとは訳が違う。
いつもはしない緊張をしながら、伊都は携帯電話に勇史の名前を出した。
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