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two roses & a lily
第8章 ハイスクール時代
「ジョン、そろそろ起きなさい。」
「ん、ああ、よく寝た。治療は?」
「終わったよ、君には睡眠が足りなかったようだ。また明日おいで。」
カールの暗示が効いているのか、ジョンはカウンセリングした記憶がなさそうだった。
「ボブ、寝てるだけって、治療進むのかな?」
「まあ、まずはカールを信じていこう。」
カールの忠告の通り、治療の内容は話さずに帰る。治療の影響もなさそうなので、学寮に入るジョンを見送って帰宅した。
翌日、ジョンが登校してこない。
僕は2限目を休んで、学寮に向かった。
入口で管理人に呼び止められ、逆にジョンの居場所を尋ねられた。
「フラッと出て行ったきり帰ってこないんだよ。無断外泊だし連絡もつかない。」
連絡先になっていた施設にも連絡とったが、連絡も何もきていないという。
「現実退行だな。」
カールに電話した。
事前説明で現実退行については聞かされていた。
暗示を掛けてもカウンセリングの記憶があったり、カウンセリングで退行した年齢、記憶に実際に退行したままになってしまうことがあると、、
ジョンはあの町に戻ってしまったというのか。
遠く離れた町に、さすがに追いかけることはできない。
携帯に連絡しても電話に出ない。
いきなり為す術もなく、仕方なく授業に戻り、休み時間の度にジョンに電話を入れた。
結局、電源は切られてしまい一日が終わり、カフェテラスでメアリーを待ちながら、電話し続ける。
「どうしたの?」
「ジョンが行方不明なんだ。」
「電話に出ないの?」
「ああ、電源が切られている。
メアリー、僕、、」
「今から行こうって?じゃあ、私も一緒に行くわ。車で行きましょ。」
反対されるかと思っていたが、メアリーは一緒に行くと言ってくれた。
「ありがとう。」
「だって、ジョンの状態も予測できないし、無理矢理連れ帰すなら、車で二人で行った方がいいわ?」
「いや、僕が言い出したことなのに君まで巻き込んで。」
「でも、私もあなたと一緒に居たいから、そうでないとジョンにあなたを取られちゃうもの。」
屈託なく笑いながら、ハンドルを握る僕を覗き込むメアリー。
運転を交代して何とか夜にはジョンの育った街に着いた。