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two roses & a lily
第8章 ハイスクール時代


大男の言葉に、僕の背後にいたメアリーがブルリと震えた。



「sexが愛情表現の全てではありません。僕はジョンを違う形で治してみせます。」

「じゃあ、失敗してジョンが廃人になったら、病院に拘束したりせずに、ここに連れてこいよ。ジョンが自分で帰ってきたんだ。ここにはジョンを受け入れるバックグラウンドがあって、生かしてやることが出来るんだ。」

「そうならないようにしますから。」

本当は怒鳴ってやりたかった。
ジョンが不安定な状態だと気付いていて、大人が何人も側にいながら、自分の欲望の為にいいように玩具に仕立て上げたのだ。

ここに来た時には、ジョンの人格は既に壊れた状態で成形されていた。
人格が分裂しなかったんじゃない。ジョンは生きる糧としてsexするという理由付けをされ、sex依存という人格にまとめられたのだ。

僕は怯えるメアリーと手を繋ぎ、マスターにもう一度、今後ジョンが来たら連絡してくれるよう頼み込む。

マスターも大男も渋々了承してくれた。


カラン……

「ジョン、新しいお客さんがお待ちかねだぜ?」


「今日はヒューとの番だろ?」

ジョンの声だ。
だけど、僕はジョンの今の状態を探るため、振り向かず声も掛けなかった。

「マリーはどうした?」

マスターが昨日一緒に帰った客のことを聞く。

「久しぶりだから、たくさん抱いてとか言うから抱き潰してきた。気絶してしばらく起きないんじゃないかな?
久しぶりって毎晩顔を出してるのに、皆おかしいよ。
マスター、ステーキ焼いてくれ。昨日ここ出てから、何も食ってない。」

「ずっとヤリ続けたんか?」

大男の質問に『ああ、マリーが求めるから、』と呆れた顔をして、大男の向こう側にジョンがドカリと座った。

「おい、ステーキは焼いていいのか?」

マスターが僕に聞いてくる。
不審に思ったジョンが大男越に僕を覗いた。

「ジョン、ステーキは食べずに大学に帰るよ。腹が減ったなら帰りながらドライブスルーで何か買おう。」

僕はあえて普通に話した。退行していないジョンと話すように。
ただ『大学』というキーワードを入れて。

カールが治療後に退行から戻れない時の為にいくつかのキーワードを決めた。
カールとジョンと僕で相談して、、





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