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two roses & a lily
第1章 プロローグ
「バァン、バン、バン、バァン。」
妹と一緒に風呂に入る。
水鉄砲がジョアンナの一番のオモチャだ。
街中で轟く銃声を真似て、妹は俺に向かって水を当てる。
「お兄ちゃん…撃たれたんだから、倒れてよ。」
「あ、あぁ…、ぅっ…うぅ…」
ブクブクと湯船に沈んでいくとジョアンナは喜んで俺の頭を撫でるのだ。
いつもと変わらない1日…
この時までは、そう思っていた。
「そして、ジョアンナは王子さまと仲良く暮らしたそうです。良かったなぁ、ジョアンナ。」
「うん、お兄ちゃんみたいなカッコいい王子さまが、そのうちジョアンナを迎えにくるの。だから、いい子にして寝て待ってるわ。」
いつも、ヒロインの名前をジョアンナに代えて本を読んでやると、喜んで静かに話を聞き、お決まりの文句を唱えて布団を被り寝付くジョアンナ。
そう、いつか…王子さまが現れて、ジョアンナを幸せにしてくれるはず。
俺も願いを込めて読み聞かせ、ジョアンナと並んで布団を被る。
そうしたら、寂しい夜でも朝までぐっすりだ。