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two roses & a lily
第5章 ハイスクール

アンも俺も泣いていた。
アンが夫が帰ってくるからと時間を気にするので、もう二度と訪ねることはないと安心させて施設に戻った。
アンを悪者のように思っていた。
マムが失踪したことを忘れて、アンに引き離されたとすら思い込んだし、ジョアンナが体が弱かったのもアンのせいではと疑った。
だが、違った…違ったのだ。
多分、俺にはもう家族はいない。
マムは生きていたとしても、もう家族ではない。
涙を拭いて施設に戻ろうとした。
街並みは懐かしさを感じる。あの頃の友達はどうしているのだろうか。
気づくとマムが働いていたバーの前に立っていた。求人の貼り紙を見て店内に入る。
どうせ、高校生のバイト先なんて、なかなか見つからないだろう。
マスターは俺を見て、すぐにわかった。ジュエルの息子だと…
そして皿洗いから始めろとすぐに雇ってくれた。
じきに重宝がられ、マムと同じ道を歩むことになるとは知らずに…………

