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two roses & a lily
第1章 プロローグ
そして、アン宛の手紙をジョアンナに渡した。
「アンにマムからの手紙だって渡して。」
「手紙ってなあに?」
「うん、ここに置いておくから、アンが来たら『見て』って言えばいいんだ。」
「わかった。」
手紙には、マムは帰ってこなかったこと、でもジョアンナには内緒にしていること、いつも通りジョアンナの世話をお願いしたいことを書いた。
そして昨日と同じ鍵の話をジョアンナとして、俺は学校に行く。
そんな場合じゃないって状況をよくわかってなかったんだ。
学校から帰るまで、マムのことはすっかり忘れていた。
小学校二年生、そんなもんだろ。
「ただいま。」
「ジョン、ちょっとこっちに来て。」
出迎えたのがアンだったことで、マムがまた帰ってこなかったのだと思い出す。
アンはリビングを挟んで俺たちの部屋と反対側にあたるマムの寝室に俺を連れていった。
「ジョン、マムから何も聞いてないの?」
アンは昨日と同じ質問をする。
「マムから、何かあったときに…って言われてる場所、引き出しとか、大事なものを入れてる場所とかを知らない?」
「知らない。」