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Eternal
第6章 Reunion-再会-
 過去にはここがこの島国の中枢部であったとは思えないくらいに寂れた場所になっている。太陽の光は差すものの、少し斜め上にある新首都が大きな影を作っていて満足するほどの明るさは届いてはいない。歩くひともまばらでかつてはあったという賑やかさも今は失っていた。しかし首都よりも緑が豊富で、神宮には巨木が多く存在していた。その場所は神聖であるためか、新首都の空中基盤がなくて燦燦(さんさん)と太陽の光を浴びていた。そこだけがまるで別世界のようである。
「お参りをしたことはあります?」
 私がそう聞いたところ、彼はしたことがないと首を横に振った。
「知識としてはあるが、実際にはよく分からない」
 いつもなら辞書に書いてある通りの言葉を放ってくる彼がなぜか今は言わない。朝だって唾液のことで色々と言葉を並べ立てていたのに。そういえば、家を出る前から彼はほとんど話をしてこない。まあ、いつもは私から話すことがほとんどだけれど、それでもいつもより口数が少ないような気がした。
 神宮に到着すると、やはりネットでの情報通りで、この正月という日に参拝しているのは大体が六十を超えた高齢の男女であった。
 この神宮は過去に存在したある天皇とその正室である皇后を祭神として祀っている。今の天皇は今この首都ではなくてある地方で暮らしている。もともとはその場所が彼らの故郷のようなものだったからである。一度目の鎖国を終えて首都がこの場所に改められた時、天皇の一族はこちらへと移転した。第二次世界大戦後には天皇の権威は失されて、国の象徴という形で残された。しかしこの島国民はこの一族をずっと敬ってきた。彼らの一族の歴史は古い。男子のみが天皇となる権利を持つのだが、この一族には一時は女性ばかりが誕生して、皇族の存続が危ぶまれた時もあった。それでは女性の皇女を天皇とすればいいのだと簡単に考えてしまうが、昔から女性が天皇になると国が乱れるという言い伝えがあったのだそうだ。
 何となくだけれど、これって女性を卑下してる?
 神宮の外側を歩きながら私はそう思った。この島国では昔から男尊女卑と呼ばれる習慣があった。今では女性も選挙権を持つが、過去にはそれさえも持つことができなかった。
 男性ってそんなに偉いのかしら? 偉人の男性だって結局は女性のお腹から誕生したのに――
 女性の方がすごいことをしているんじゃないかしら?

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