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朧_ 霞む 愛しい影
第1章 この世では 叶わぬとしても。
*祐
〈どうか、兄様が 今暫くは
お帰りになりません様に
私が 贄となります〉
一昨日から、起きている間は ずっと
声に出せぬ祈りを 胸の中で繰り返している
こんなにも 想っているけれど
抱き合ったのは 一度きり、
翔という名前で
兄様を呼んだ事は おそらくない
兄様の事を思い出すと
胸が ちぎれそうになっていたのは
いつの頃までだったか
いまではもう
この世で想いを遂げる事など 諦めている
けれど。 それは 滅多に逢えぬからこそ。
此の前 逢ってから、半年は経つ。
触れあうまでもなく ただ言葉を交わし
互いの健勝を願いながら
滲む泪で朧に映る 兄様を、 凝視めただけで
その後 数日は
魂が抜けた様に成ってしまうほどに
封じた想いは 褪せてはいない、、
〈どうか、兄様が 今暫くは
お帰りになりません様に
私が 贄となります〉
一昨日から、起きている間は ずっと
声に出せぬ祈りを 胸の中で繰り返している
こんなにも 想っているけれど
抱き合ったのは 一度きり、
翔という名前で
兄様を呼んだ事は おそらくない
兄様の事を思い出すと
胸が ちぎれそうになっていたのは
いつの頃までだったか
いまではもう
この世で想いを遂げる事など 諦めている
けれど。 それは 滅多に逢えぬからこそ。
此の前 逢ってから、半年は経つ。
触れあうまでもなく ただ言葉を交わし
互いの健勝を願いながら
滲む泪で朧に映る 兄様を、 凝視めただけで
その後 数日は
魂が抜けた様に成ってしまうほどに
封じた想いは 褪せてはいない、、