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保健体育の授業
第8章 それぞれの道~李久~

『そのことで…
めちゃくちゃ考えた。
めちゃくちゃ考えて
俺、学校辞めることにした…』
テーブルの上に置かれ
握られた拳に力が入っているのに
気付いてしまった私は戸惑った。
"心から辞めたいわけではないんじゃないか…"
『…どうしても…
沢山沢山考えても…
学校を辞めずにいられる方法は
見つからなかった?…』
李久はうつむいた。
少し間をおいて話始めた。
『まずは学費…
ずっと学校と両立して仕事も
してきたけど…
やっぱ身体は楽じゃねぇ。
授業出でも寝てたりとかもあって
何しに学校行ってるか…って。
でもそこは広大や敦也がいたから
楽しかったし。
勉強だけじゃねぇからさ、学校は。
でもそのことバイト先の親方に
相談したんだ。
そしたら親方も高校行ってねぇって。
だから学はねぇけど
こうやって親方になることも出来て
お前みたいにいい部下に恵まれて
俺は幸せに生きてる。
大した応えになってねぇけど
学校辞めたってお前の居場所は
ここだって思ってくれりゃ嬉しいって。
あと…広大…お前のことも…
あんな必死にお前の代わりにって
頭下げてくれる友達なら
学校だとかなんだとか関係なく
傍にいてくれるはずだって…
そんないい友達がいるお前を
手放す理由が見つからねぇって。
そこまで言ってくれた親方に
俺は付いていきてぇって思ったんだ。』
序盤から涙が出ていた私は
李久が喋り終えた頃にはもう
ぐちゃぐちゃの顔で泣いていた。

