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保健体育の授業
第8章 それぞれの道~李久~

『学校に未練はないか?
本当に辞めて後悔しないか?』
広大が最後の試練を与えるように
強く李久に聞き返した。
『確かに怖い部分はあった。
高校中退で将来大丈夫なのかって。
でも親方を見てたらそれは
馬鹿くさい悩みだってわかった。
学が無くたって常識や知識があれば
人望も信頼も付いてくる。
あとは俺次第だってこと。
なんもかも中途半端にしたくねぇ。
俺は親方みたいな親方…
や…親方を越える親方になるって
決めたんだ。
だから学校は辞める。』
きっと言葉にしたことで
自信に変わったんだろう。
話始める前とは全く違う
イキイキとした表情をしていた。
『李久と学校で会えなくなるのは
もちろん寂しいけど…
李久の決意を反する権利は
私たちにはなくって…
大きな夢に少しずつ向かって行く
李久のこと一番近くで応援させてほしい!』
私は寂しくもあり嬉しくもある
涙を流しながら李久に伝えた。
ずっとだんまりしていた広大も
『…異論なし』
とボソッと言うと李久の顔をみて
ニコッと笑った。
それをみた李久の表情はやっと
安心に包まれたような
優しい顔になった。

