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解放
第1章 第一章
ビクッと身体が跳ねる。
しかし、目はそらせない。

「自分を良く見て、受け入れろ。」

ぴしっ、ぴしっと殻にヒビが入り、黒い心の闇に
一条の光が、差し込んでいく。

「お前はそう言う欲深く、醜く、罪深いものかも
しれない。清らかで、誠実で、真面目でありたい
理想の姿とは真逆。」

ぽかんと口を開けて、ただじっと瞳を見つめる。
黒い黒い彼の、自分の瞳を。

「そんな自分が自分で許せないなら……」

雲の隙間から地上へ天使のはしごがかかるように
幾条もの光がヒビを大きくしていく。

「俺だけが許そう。本当のお前を理解する俺が」

覗きこんだ、男の黒い瞳にすでに闇はなかった。

「ぅわぁあああああああああああああああああ
あああああああああああ」

大粒の涙と
ありったけの声と
秘めていた悲しさと
囚われてきた苦しみと
共感された切なさと
許された安堵感と
言いようのない心地よさが吹き出した。

悟った。
もう逃げられない。
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