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地獄
第28章 お立ち台
 奈緒子は拘束を外され、床に寝そべっていた。膝と足首の縛りは解かれ、両手の拘束具も外された。
 ある程度の自由ができた。しかし、やはり窮屈である。相も変わらず首輪は付けられ、足首に拘束具を付けられた。


「そろそろ、ロープが欲しいか?」


 坂本が奈緒子にロープを見せる。
 それは女の全てを縛り付ける、最高傑作な道具であった。


 奈緒子の顔に渋い表情が浮かぶ。
 股間にモゾモゾする感覚がある。
 どうやら、もよおして来たのだ。


「ご、ご主人様! あの……その……」


 奈緒子が余所余所しい姿で、坂本を見る。
 

「なんだ? 縛られたくないのか?」


 坂本が憮然と言い放つ。
 

「お、オシッコがしたいんです」


 奈緒子が頰を赤らめる。そして目を瞑り、股の疼きを抑えていた。
 

 坂本は少し笑う。不気味でとこか嫌らしい顔があった。
 そう言われてみれば……昨日は女が便所に行きたいと言わなかったな! つまりアレをしていない。


「小便くらい、遠慮するな。今、お立ち台! に連れて行ってやろう」


 坂本が首輪を引っ張る。
 すると奈緒子が四つ脚になり、付いていく。


 お立ち台?


 奈緒子が頭を捻る
 坂本はそんな女の顔を見ながら、首輪を引っ張る。速く歩け! 無言の圧力を掛ける。
 

 部屋の隅にスロープみたいな場所があり、そこは緩やかな斜面が少し隙間を開けて二つあった。それはレールのようである。坂本がそこに女を連れてくると、斜面を登らせた。ゆっくりゆっくり、四つ脚で前に進むと頂上付近で斜面がなくなり平行になった。


「奈緒子、歩くの止めだ! 身体を起こせ!」


 坂本の言われるままに、奈緒子が身体を起こす。
 

「えっ、な! なに?」


 奈緒子が驚いた。
 何故なら今、女の前には大きな鏡があり、その下に砂がたくさん入った洗面器が置いてある。
 鏡は何時も利用していた鏡と少し違い別の鏡で、一回り小さくそしてほんの少々の小便の匂いがした。
 洗面器を奈緒子の股下に置くと、坂本が鏡に映る奈緒子に微笑む。


「昨日は使わなかった。だから今日がデビューだな」
「なんなんですか?」
「エロ女専用の、便所だ。俺が小便したことの証人として、奈緒子に寄り沿ってやろう」


 坂本が気味悪い笑いを浮かべながら。奈緒子の顎をしゃくる。
 
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