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地獄
第41章 経緯
「恐竜(ザウス)の正体は、コイツだ」


 漠がパソコンの画面を見せた。
 そこにはプロフィールがあり左斜め上に、写真が貼られていた。
 その写真には白髪の紳士がいて、笑みを見せているのがわかった。


「俺の創った『天国』サイトには、必ず顔出しが必須事項でな」


 漠が言った。
 日菜子が薄らと笑いながら、寄り添う。
 

「さすがは漠様ね! 昔、ITの革命児と謳われた存在だわ」
「昔のことだ。やり過ぎて、追われた人間の烙印は今も消えん」


 漠の顔に、やるせなさがある。
 

「名誉と名声は捨てた」
「お金は?」


 日菜子が言い返すと、漠が「話がずれてる」とムスッとしながら会話を戻す。


「恐竜(ザウス)は奈緒子の子供達が通う小学校……いや、あそこは小中高を営んでるな。そこの理事長だ」


 漠が言った。
 日菜子がえっ! となる。


「俺に奈緒子を売ったのは、この男でな。ビーストとして動画の依頼もコイツだ」
「は?」


 日菜子が頭を捻る。
 繋がらないのだ。


「コイツ……元は俺の部下でな、もっと言えば俺を蹴飛ばした男だ。つまりは、追いやられたんだ」
「……意味はわかるわ、でも意味わからない」


 日菜子が頭を捻る。
 

「コイツも蹴飛ばされた。部下にな……ただどういう訳か、学校を創った。理屈は知らんが、創ったのは事実でな」


 ここまで会話をすると、スマホが鳴いた。
 

「恐竜(ザウス)からだ。テレビ電話になっいる。できれば、二人で話をしたい」


 漠が言った。
 日菜子が頷く。過ごし距離を置いて聴き耳をたてることにした。

 
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