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地獄
第20章 母として妻として
 マンションの寝室、そこに奈緒子裸のままは眠っていた。
 眠るは少し意味が違う。気絶させられているが正しい。
 奈緒子の近くには、デニムパンツ、Tシャツ、ブラジャーがあり破かれたパンティも置いてあった。


「うん、うーん」


 奈緒子がフラフラと身体を起こす。
 しばらくボーとしている。しかし裸であることがわかると、坂本に辱めを受けたことが事実であることを確信した。
 

「いや!」


 奈緒子が怯える。
 怯えながら、服を着て部屋を見渡す……。


 !!!


 奈緒子が、驚く。
 子供達との桜の下で撮った写真に141度があった。
 奈緒子が急いでそれを外すと、ふと後を見た。
 そこには文字がある





 奧さん、今日の所はこれぐらいだ。
 もちろん明日もある。明後日も、俺が飽きるまでエンドレスでな。
 奧さんが俺の言うことを聞くなら、動画、画像は流さない。
 これは約束しよう。
 写真もこの一枚で許してやる。
 しかしもしバラしたら、奧さんは終わる。家族も終わる。
 それだけは、耳にタコができるくらい警告する。


 あっ、それから、奧さんのスマホのメール、電話番号を見させて貰った。SNSもしっかり見た。SNSは気が向いたら、入ってやろう。
 後でメールしてやる。
 拒否は許さん。
 

 この紙を棄てるなら、バレないようにしろ。
 これは奧さんの持ち物だ。
 後は……メールでもいれてやるが、明日はこの時間から可愛がる。

  それでは。




 奈緒子が、紙を破く。
 近くのゴミ箱にそれを捨てようとして、止める。
 ゴミ箱を、漁られたら……そんな思いが生まれた。
 咄嗟に自分の財布に隠して、場所を見極めて捨てることにする。しかし頭の中では、これはまだ終わらない……その絶望が渦巻き涙が溢れ出る。
 

 大泣きしようとした時、ドアがなる。
 涙を抑え用心深くカメラを覗く。そこには二人の子供がいた。待っていた。
 奈緒子は涙を忘れ、ドアを開けた。


「ただいまママ!」
「ママ、かえったよ」


 子供達が満面に笑みを見せる。
 

「お帰りなさい、可愛い子供達!」


 奈緒子が笑いながら抱きつく。
 母の時間が始まる。




 



 


 
 
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