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どこか壊れている
第1章 存在意義
美味しい。そうおもった。

「なんだか、寂しくて。」

長年通っていることもあるが、四十にもなってまだ少年のような純粋さが感じられるマスターには幾分素直に自分の気持ちが話せた。

「あかりさんももう直ぐ三十でしょう。結婚なぞは考えないんですか。」
「結婚かあ。なんだか実感湧かなくて。」
「まあ、あかりさんほどの人を幸せにできる男もそういないでしょうけど。」

私ほど、か。自己肯定感。あかりはそれがまだ自分に不足していることに気付いた。求めればキリがないだろうが。所詮そんなもの独りよがりなものに過ぎない。

「マスターは自分の人生に満足してるの?」
「満足か。そう言ったことは最近考えないようにしてますよ。」
「私、今の自分には別に不自由さも感じないし、満足しているわ。でも、なんだろう、空虚感?みたいなものがいつからかこびりついちゃって。」
「それは贅沢な悩みですね。」

マスターはそう言って無邪気そうに目にしわを作る。

佐藤は自身の身の上を省みた。高校を卒業してから大阪の飲食店を転々としながら、三十過ぎになってやっと自分の店を持った。常連のお客さんもだいぶついてくれるようになって、自分の接客とカクテルに満足してもらっている。

でも、上場企業のサラリーマンなんかを相手にすると、自分には学がないことに気づかされる。その不自由さを何度感じたことか。その意味では、大学を卒業して一般職でも上場企業に勤め、若くして独立したあかりが羨ましくもあった。

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