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どこか壊れている
第1章 存在意義

あかりは、ぼんやりしながら飲食店オーナーの智に紹介してもらった外科医の斎藤治(さいとうおさむ)のことを考えた。もう三度ほどマッサージを行っているが、多少の誘惑をしてみてもいつも上辺で笑うだけで、何を考えているのかわからない男だった。
あの男に会うと、自分と母を置いて出て行った父親のことを思い出してしまう。そのこともあり、何かしら特別な感情を斎藤治に向けてしまう。
まあ、焦ることはない。所詮あいつも男。どこまでも落としてみせる。そう思った。
「ぼんやりしてどうしたんですか。」
静かにマスターが言う。
「いや、ちょっと。」
あかりは妻子あるマスター、佐藤のことを冷たく見つめた。この男も私の手にかければいとも簡単に落ちるだろうか。あかりは、自身の目の奥に怪しい光りが宿っていることに気づいた。
もしそんなことをしたら、数少ない自分が安らげる場所を一つ失ってしまう。そんなことはわかっているが、一度熱を持ってしまった体を落ち着かせる術をあかりは知らなかった。
あの男に会うと、自分と母を置いて出て行った父親のことを思い出してしまう。そのこともあり、何かしら特別な感情を斎藤治に向けてしまう。
まあ、焦ることはない。所詮あいつも男。どこまでも落としてみせる。そう思った。
「ぼんやりしてどうしたんですか。」
静かにマスターが言う。
「いや、ちょっと。」
あかりは妻子あるマスター、佐藤のことを冷たく見つめた。この男も私の手にかければいとも簡単に落ちるだろうか。あかりは、自身の目の奥に怪しい光りが宿っていることに気づいた。
もしそんなことをしたら、数少ない自分が安らげる場所を一つ失ってしまう。そんなことはわかっているが、一度熱を持ってしまった体を落ち着かせる術をあかりは知らなかった。

