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どこか壊れている
第1章 存在意義
掛け時計はまだ十時三十八分を指している。あかりは、まだ寝付けそうにないなと思い行きつけのバーにでも行くことにした。

つい先日買ったばかりの、深い赤のロングコートを卸して見にまとう。姿鏡に映る自分の姿にうっとりする。

セミロングの黒髪はツヤがあり、巻くことで立体的になっていて、まるで生きているようだと思った。

外に出て、家からすぐ梅田の東通り商店街を歩く。12月初めの冷たい風が頬を撫でて、幾分か火照った体には気持ちいい。

金曜のこの時間、商店街は人混みで賑わっている。飲食店やキャバクラのネオンがアーケードの中をギンギンに照らして、まるで自分たちを欲望に駆り立てているようにも思える。私はこれからどこに向かっていくのだろう、そんなことを思って軽くこぶしを握った。そして、いつまでも歩いていたかった。

大通りを外れて、目立たないところにある汚い雑居ビルの階段を上がる。三階に行きつけのバー「blue(青)」がある。木製の少し重たいドアを開けと、二つあるテーブル席の奥側で三人のサラリーマン風の男が談笑していた。

カウンターの真ん中に座る。

「こんばんはマスター。」
「あかりさんこんばんは。ロングコートお似合いですね。お預かりしますよ。」

四十にしては若く見える、短髪でくっきりした二重が特徴的なマスターが落ち着いた声で言う。

「今年ももうこんな季節ね。」
「ええ、この歳になると本当に一年が早いですよ。今日はなんだかブルーな気分みたいですね。お任せでいですか。」
「はい、お願いします。」

ここのマスターは、常連の客にはこのようにお任せでカクテルを出してくれる。出してくれたものを一口飲む。柑橘系の甘さが口に広がった後、冷たく喉元を下に流れた。

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