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愛してるからこそ...
第18章 田村さんと若菜さん
若菜さんがいるベッドルームはドアが閉められている。
田村さんはまた椅子に座り直しビールを
一気飲みしたあとしばらく時間を置いて話し始めた。
『昨日病院だったんだ。
ここ数週間で咀嚼の力がかなり落ちてる...
検査してもらったらもう噛むことも
難しくなってくるって…
そうすると口を動かさないから
頬の筋肉も動かなくなってきて
話すのも出来なくなるのはそんなに遠くないって。
これでもまだいい方だよって言われた。
もう話せなくなると呼吸も出来なくなるから
胃ろうの手術をして人工呼吸器を装着することに…』
若菜さんの病状は思いのほか進行していたの。
正人からALSのことを聞いて調べて
知識だけはいれていたけど実際に目の当たりにすると
どうしていいか分からない...
『だから若菜の親とも話したんだ。
すると若菜の希望する様にしてあげたいって…
若菜に聞いたら...若菜は…
私は手術して呼吸器付けてまでこんな生活したくない。
苦しいかもしれないけど病気を受け止めて
人生を終えたい...って』
若菜さんは手術と人工呼吸器の装着を拒否した。
それは田村さんとの時間を極端に縮めてしまうことになる。