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愛してるからこそ...
第18章 田村さんと若菜さん
『言われたんだ…
覚悟してくださいって。
もう若菜ら発症してから3年くらい経ってる。
だいたい2年から5年で亡くなることが多い。
嚥下しにくくなると痰がからんで
呼吸不全で命を落とすことが多いって…
もう若菜との時間が無いって思うと
どうしていいかわかんねぇよ…』
正人も葛城さんも田村さんのこんな姿を
見たことがなかったのだろう。
友達としてできることはないのか?
どうするのがいいのかいろいろ考えているんだろう。
「田村さん。
若菜さんは延命のための処置を望まなかった。
って言うことは若菜さんも
自分の残りの人生の時間をある程度
覚悟しているなら…
田村さんが明るく楽しい人生の最期を
一緒にすごしてあげることが大切だと
私は思うんです…」
そう。私の母は不慮の事故で亡くなった。
それも父と兄が海外から帰ってくるって日に。
即死な程の衝撃を受けた母。
その周りにはたくさんの食材が散乱...
料理が好きだった母が
楽しみにしていた日に大好きな料理をするために
買い物に行き還らぬ人になった。
「私の母はもう居ないんです。」
「朱里!!!」
正人は私の言うことを止めようとする。