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愛してるからこそ...
第24章 バレンタイン
もうすぐ12時になろうとするのに
誰も外回りから帰ってこないことをいいことに
私は泣きっぱなしだった。
怖い、嫌だ、そんな感情しか出てこなくて
どうすればいいか分からないまま
ハンドタオルで涙を拭いながら書類を片付ける。
この広い営業部に私しか居ない。
いつもなら賑やかなこの営業部も
シンとしていると寂しい…
それから10分くらいすると希望が帰ってきた。
『あ、朱里さーん!ただいまですー!』
いつも明るくて元気な希望は
女子社員(営業部)の中で一番の若手。
泣いていたのをバレないように
いつも通り明るく振舞ったつもり…
「お帰り!お昼は??」
『今日お弁当なんです!
でも昼からアポあるのでまたすぐに出ます!
外で食べてもよかったんですけど
勿体ないから帰ってきちゃいましたー』
彼女は本当に頑張り屋さんで
若い子にしては責任感が強い。
忍耐力もあってあの鬼と言われた正人にでも
物怖じしないくらいの強い子なの。
「そっか。バタバタだね。」
『はい!でも頑張ります!!』
買ってきていたインスタントのお味噌汁を
飲みながらお弁当を食べている。
『朱里さんは食べないんですか?』