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愛してるからこそ...
第3章 家族
「お父さん…?」
私はお父さんに声をかけると少しだけ目元を擦り
顔を上げたお父さんの目は真っ赤になっていた。
『正人くん。
同棲して何年もしてやっぱり要りませんは
通用しないぞ。
これでも大切に育てた娘だからね。』
「はい。いつかはいい報告をしたいと
考えておりますのでよろしくお願いします。」
お母さんは、キャッ!その報告が楽しみだわと
キッチンへ入って行ってしまった。
こんな私の家族とのやり取りを思い出していた。
正人には頼れる家族がいない。
小さい時からずっと我慢していたこと。
それは人に甘えるということ。
だから学生時代は近所のお兄ちゃんたちの
お下がりを着ていたみたい。
だけど中学の時に身長が急成長した時だけは
祖父母に頼んで新しい制服を買ってもらったと…
高校生の時の修学旅行だって
学費と生活費をバイトで稼ぐしか出来ずに
みんなで楽しむ時ですら
あまり楽しむ余裕がなかったと言っていた。
そんな思いをしていたことは
社会人になって知り合った私は
知らずにいたんだ...
私といる時は常に優しくて
頼りになる彼氏だったから
挨拶の時に見た正人の辛そうな顔は
初めて見る表情だったりしたの。