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世界で一人だけの君へ
第3章  恋心
「さ、准一くんお待たせ
 こっちに座って」

さっきまで大林さんが座っていた椅子を勧められる。

なぜか僕の足は動かない。

僕の様子を見ていた槙さんは微笑んで鞄から札を出して外のドアノブに引っかけ扉の鍵を閉めた。


僕はちょっとドキドキした。


槙さんと二人きりの空間。


誰も入ってこない。


こんなことって...あるのか。


「准一くん、こっち」

槙さんは畳のスペースで手招きする。

思春期の僕は良からぬ妄想をしながら声の方へ振り向く

でも槙さんは初めてマッサージしてもらったときのようにアロマオイルを用意している。


...ですよねー。


あのときとは違う爽やかでスパイシーな香りが部屋に立ち込めた。


「ほら、ボーッとしてないで早く」

僕は促されるまま靴を脱ぎ畳のスペースに寝転がる。


槙さんを目で追う。


あのときのように槙さんは僕の頭をひょいと持ち上げ膝にのせた。


僕は心のなかで満足感に浸っていた。

そう、彼女の膝枕はとても心地がよくて頭の角度もとてもいいんだ。


僕の良からぬ妄想が頭から離れない。


どうしよう
いっそのこと

今日も彼女にキスしてみようか。


この間みたいに軽いキスじゃなくもっと深く。


15の俺だって槙さんを蕩けさすようなキスも出来るってこと教えたい。





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