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世界で一人だけの君へ
第5章 俳優 田辺准一
僕はフラフラとその場を立ち去る。
壁づたいに生気なく歩く僕にみんなが不審な目を向ける。
「どうしたの?」
声をかけてくれたのは松下さん。
「いえ。
朝から番宣や歌番組の収録があって
少し疲れたのかも...」
ヘナヘナとその場に座り込んだ。
「もう!若いんだからしっかりしなさい!」
ちょうど通りかかった共演者に声をかけて椅子を用意してくれた。
「少し休んでなさい
あら、メイクまだ?」
「あ、槙さん施術中みたいで...」
松下さんは一瞬怪訝な顔をした。
「ふーん。
なら私のメイクさんに頼むわ。
ちょっとまってて」
松下さんは廊下を走り去りスタジオへと消えた。
暫くしてメイクさんとともに松下さんが戻ってきた。
僕はされるがままメイクを施される。
顔に触れるいつもとは違う感触
違うリズム...
胸が締め付けられる
苦しい...
なんでだよ!!
なんで...
槙さん...
僕は奥歯を噛み締め涙を耐えた。
女優、松下奈々はそんな僕の様子を
注意深く観察していた。
壁づたいに生気なく歩く僕にみんなが不審な目を向ける。
「どうしたの?」
声をかけてくれたのは松下さん。
「いえ。
朝から番宣や歌番組の収録があって
少し疲れたのかも...」
ヘナヘナとその場に座り込んだ。
「もう!若いんだからしっかりしなさい!」
ちょうど通りかかった共演者に声をかけて椅子を用意してくれた。
「少し休んでなさい
あら、メイクまだ?」
「あ、槙さん施術中みたいで...」
松下さんは一瞬怪訝な顔をした。
「ふーん。
なら私のメイクさんに頼むわ。
ちょっとまってて」
松下さんは廊下を走り去りスタジオへと消えた。
暫くしてメイクさんとともに松下さんが戻ってきた。
僕はされるがままメイクを施される。
顔に触れるいつもとは違う感触
違うリズム...
胸が締め付けられる
苦しい...
なんでだよ!!
なんで...
槙さん...
僕は奥歯を噛み締め涙を耐えた。
女優、松下奈々はそんな僕の様子を
注意深く観察していた。