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世界で一人だけの君へ
第5章  俳優 田辺准一
スタジオから拍手が沸き起こる


「いってーな准一!
 考えろよ」

大林さんが頬に手を当てて立ち上がる

「あっ!すいません
 つい本気で...」

僕は焦って大林さんのもとに駆け寄った。

「ったくよぉ…
 俺の顔に傷が残ったらお前に一生食わしてもらうぞ」

俺の肩に手をおいて冗談混じりにそんなことを言う。

「大林さん、少し傷があるくらいの方がセクシーですよ。
 任侠ものからもオファーくるんじゃないですか?」

松下さんまでそんなことを言う。

「准一、よかったよ」

大林さんは俺の肩を叩いてセットから出ていった

「誰かぁ氷のう持ってきて

 准一のやつ手加減ってものを知らねーからよ」

なんて毒づきながら。



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